ロシアのウクライナ侵攻は収まる気配がなく、武器を供給している米国をはじめとする西側諸国は軍需景気に潤っている。イスラエルとハマスの戦闘状態も、解決のキザシが見えて来ない。日本国内は、輸出業界が円安で好景気である。半導体も先行きがなかなか見えて来ず、製造装置の生産もメーカーからの発注が先送りになっている。
ダイハツの生産停止に続いて、トヨタをはじめとする車メーカーが追い打ちをかけるように不正が発覚して、生産停止に追い込まれつつある。
いまや日本経済の回復は手に負えない状況に陥っているのではないかと垣間見える。
『ホワイト水素』
池中に存在する天然の水素があり、以前は「池中水素」や「天然水素」と呼ばれていた。最近は、「ホワイト水素」という言葉が使われている。
トルコ、オマーン、スペイン、日本(長野県白馬八方温泉)等の世界各地、海底では中央海嶺付近の熱水鉱床においても観測されている。しかし、メタンやヘリウムなどと混合していることが多く、高純度の水素ガスはマリやトルコ以外には殆ど未発見である。地下深度で発生した水素が移動・上昇したのち、貯留層となる岩塩層や石灰層などの緻密な岩相と溜まるのに適した背斜等の地質構造があればその直下に集積し、天然ガスと同様に採掘できる可能性がある。
天然水素が実際に商業開発された例はないが、マリでは自然に噴出した水素ガスを直接燃焼させて発電し、近隣の村に送ってパイロットプロジェクトに成功している。
フランス、スペイン、米国、豪州、モロッコ、ジブチ等で探鉱が実施され、政府機関・大学と企業が共同で採掘試験を行っている。
これらの採掘等に関して許認可制度の整備も課題であり、南豪州は法改正の準備中、フランスは法改正を実施し、スペインは環境関連法により新規のガス開発が禁止されていることが、開発にあたっての課題になっている。
天然水素の生成には、まず放射性分解で岩石に含まれる微量のウラン、トリウム、カリウム等の放射性元素の壊変による発生する放射線によって、水が分解されて水素が発生する。この反応は速度が遅いため、カンブリア紀などの古い岩石が現在に至るまでの長い時間をかけて水素が生成されると考えられている。また、ウランなどの放射性元素を多く含む性質のある花崗岩類は生成の可能性が高いとされている。
もう一つは、蛇紋岩化反応でカンラン岩などの超苦鉄質岩が変質して蛇紋岩になる際に、水素が発生する。白馬八方温泉はこの反応によって水素が発生している。トルコやオマーンも同様のプロセスである。
さらに、水素を大量に含む地球深部のコアや下部マントルから排出された水素が、プレート境界や断層に沿って浅いところまで上昇してくるものもある。
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